ケガを乗り越えるメンタルトレーニング(3)

 今回は、スポーツでケガをしてしまい、治療やリハビリのため、しばらくの間、競技を休まざるを得なくなったスポーツ選手の方に向けて、ケガを乗り越える期間中、モチベーションを保つためには結果目標を行動目標に切り替えることの大切さを解説しています。この記事を読むと、ケガによって長期のリハビリ期間を過ごすようなスポーツ選手の方でも、復帰に向けて、順調な回復に向けて、望ましい治療・リハビリ期間を過ごすことのヒントになると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

 改めて申し上げますと、一つ目のポイントは、「モチベーションを保つためには、結果目標を行動目標に切り替えること」です。

 誰でも、どうしても、モチベーションが上がらないという時があります。これは、目標が高すぎたり、大きすぎたりする場合や、達成感あるいは成長を感じられない時に起こりやすいものです。人間は、成長している時などはモチベーションが高くなるのですが、達成感や成長を感じられない時にはモチベーションは低下していきます。

 そこで、治療・リハビリ期間中は、「No.1になる」「ベストタイムを更新する」などのケガ以前に設定していた結果目標を、一旦、「毎日、リハビリに行く」「毎日、トップ選手の試合動画を一本観て、自分なりの分析や感想等をノートにまとめる」などの無理のない、ちょっと頑張れば達成できるような行動目標に切り替えていきましょう。プラスαのポイントとして、リハビリのメニューを十分にこなせなくてもリハビリに行った自分をよく行ったと認め、行ったことで良しとする、あるいは感想を1行書ければ、今日の行動目標を達成できたと考えるようにしてください。

 行動目標は、自分が行動すれば、自分以外の人たちから影響を受けることもなく、必ず、無理なく達成できるので、モチベーションを保つことができるのです。

 ここで参考として、私が担当した、ケガを乗り越えたプロスポーツ選手のケースをご紹介します。

 このプロスポーツ選手は、手術の結果を考慮した医師の診断から、約6か月後のある試合を自分の復帰試合にすると目標に定めました。また、目標の復帰日から逆算して、この時期には松葉づえなしで歩けるように、この時期にはジョギングができるようにと、段階的に達成すべきプチ目標もいっしょに定めました。そして、いつも付けている日記の欄外に、目標の復帰試合までの日数をカウントダウン方式で、毎日毎日、書き続けたのでした。

 その効果は、同じようなリハビリメニューのトレーニングが繰り返される日々、また、回復しているのかどうかもよくわからない日々にあっても、毎日、就寝前に日記をつけ、1日ずつ減少する日数をみることによって、目標の復帰試合が着実に確実に近づいていることを実感でき、次の日もしっかりとリハビリをがんばろうと思えたとのことでした。

 ただ、やはり、なんとなくモチベーションが上がらないような日も少なからずあったそうです。そんな時には、「常にやるという選択肢を取る」ことを意識し、モチベーションが更に下がらないようにしたそうです。逆説的な説明をすれば、「やらないという選択肢を取る」とヤル気もなくなり、モチベーションも下がるとの意味でしょう。

 まとめますと、モチベーションが保てなくなる理由は、目標が高すぎる・大きすぎる、かつ、達成感や成長を感じられないことにあります。モチベーションを保つためには、期限を定めた、無理なく達成できる行動目標を設定することがおすすめです。

 以上、最後までお読み頂き、誠にありがとうございました。よろしければ、下記の記事もご一読頂けるとうれしいです。

(参考)

ケガを乗り越えるメンタルトレーニング

ケガを乗り越えるメンタルトレーニング(2)