ある会社員のメンタル不調、うつ病、病欠、休職、復職の記録

この表は、ある会社員が過重労働や上司の言葉の暴力等からメンタル不調に陥り、精神科病院への通院、病欠や休職等を経て、復職(職場復帰)を果たすまでの実話をベースにモデル化(一般化)した事例です。(表のPDFファイル:ある会社員のメンタル不調等の記録

この表を作成した意図は三つあります。一つは、会社員としてメンタル不調を今、感じている方、病欠や休職の初期段階にある方、休職と復職を繰り返してしまう方等に、メンタル不調の始まりから復職や寛解までの道すじをモデル化して視覚的にわかりやすい形でお示しすることにあります。もう一つは、復職や寛解に至るまでは一筋縄ではなかなかいかないこと、即ち数年にわたりうつ病等と付き合わなくてはならない場合や再発や再休職する場合もあるという事例をお知らせすることにあります。

そして、最後の一つは、いくつかの場面では、心理カウンセリングやメンタルトレーニングといったメンタルサポートを活用すれば、メンタル不調に陥ることや再休職となることを予防できる可能性があることを広く知って頂きたいという思いにあります。

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以下、時系列に、詳しくひも解いていきましょう。

1.2007年度10月~2011年度7月

ある会社員は、2007年度10月にⒶ社からⒷ社に転職し東京本社で勤務を開始しました。以後順調に勤務し、2010年度8月に関西支社へ転勤となります。関西支社では初めて経験する業務を一人で担当することを命ぜられ、転勤初月から残業や休日出勤が続くなど、ある会社員にとっては過重労働の状況となっていました。また、直属の上司からのサポートもなく、逆に業務の遅延等を理由に言葉の暴力を受けるなど、四面楚歌の状況にあったそうです。

9月に入り、ある会社員は自分でも不眠や食欲不振、酒量の増加、また、焦りやイライラなどメンタル面の異変も感じるようになり、かつ、慎重な性格も相まって、9月から心理カウンセリングを受けることにしました。その後、11月にはカウンセラーに紹介してもらった病院(精神科)を受診し、2010年度の1月からはⒷ社へ主治医の診断書(うつ病)を提出し病欠することとなりました。

メンタルトレーナー・心理カウンセラーの視点から申し上げると、ある会社員はとても良い自己判断を下し、妥当な行動をとったと高く評価できると思います。心理カウンセリングを受けることや精神科を受診することは、現在でも潜在的なあるいは意識上のハードルがそれなりに高いものとお聴きするところですが、この時代は会社員がメンタル不調に陥ったら負け組的な考え方も少なからずはびこっていたので、ある会社員のこのかなりハードルの高い判断や行動を称えたいとの気持ちがその理由です。

2.2011年度8月~2013年度7月

ある会社員は2011年度8月に一回目の復職(職場復帰)をしました。会社もある会社員の復職を支援するため東京本社へ呼び戻し、家族のもとから通勤できる生活環境や慣れた業務を担当できる職場環境等の環境整備を実施してくれました。しかし、ある会社員は4か月後の2011年度12月からうつ病との診断で再び病欠し、2012年度6月から2013年度7月までを休職し、合計1年8か月、職場から離れることになりました。

ここで注目すべき事実は、比較的短期間と考えられる4か月の間にうつ病を再発し、会社を再び病欠・休職することになったという点と、病欠・休職の期間が7か月から1年8か月(20か月)とほぼ3倍に延長している点です。

ある会社員にお聴きした一回目の復職をした頃の考え方や気持ち等を要約すると、①とにかく早く職場に戻りたいとの気持ちが強く、復職を焦っていたように感じる、②人事評価や世間体、同僚への申し訳なさ、主治医や家族等自分以外の人の意見にも左右され、心の中に本当は持っていた不安や心配などの自分の気持ちや感情をおろそかにしていたように感じるとのお話しでした。

ある会社員のように復職を焦ったり、同僚への申し訳なさ等を持つことは社会性を持つ人間にとっては普通の意識や思考だと思います。また、見方を変えれば、ある会社員の勤勉さや誠実さを表しているととらえることもでき、否定できるようなものではないと考えられます。

一回目の復職期間が4か月と比較的短期間となった理由は「心の中に本当は持っていた不安や心配などの自分の気持ちや感情をおろそかにしていたように感じる」というある会社員の言葉から、復職前の心の整理が不十分であったためと分析されるところです。

ここで言う心の整理とは、不安や心配などの気持ちやマイナスの感情を引き起こす原因、例えば、仕事の内容なのか、仕事の量なのか、自分の経験不足なのか、協力体制のない職場環境にあるのか等、何が不安や心配の震源地(=原因)になっているのかを明らかにし、明らかになった原因に対する解決策や対処法を考えておくという意味です。事前に解決策や対処法をできる限り備えておくことは、不安や心配などの気持ちやマイナスの感情の解消や軽減に役立つものと考えられます。

残念ながら、ある会社員は復職前に心の整理をしておくことが有益であることを知りませんでした。ある会社員も世間一般の多くの方と同じように自分がメンタル不調やうつ病で会社を休むことになるとは考えてもいなかったとのことですし、また初めての経験でもあり、知らなかったことは何ら不思議ではないことだと思います。

もし、ある会社員と同じような状況に面してしまった時には、是非とも復職の前に心の整理を行って頂きたいと切に願う次第です。SBMTCOでは心の整理のサポートをうけたまわっておりますので、遠慮なくご連絡ください。一緒にがんばりましょう。

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(お役立ち情報)SBMTCOニュース「職場復帰(復職)前後、休職中に活用できるカウンセリングやメンタルトレーニング

3.2013年度8月~2016年度4月

2013年度8月、ある会社員は二回目の復職(職場復帰)をしました。しかし、2年9か月(33か月)の勤務期間の後、2016年度5月には三回目の病欠・休職期間に入ることになりました。

ある会社員がこの二回目の復職の前に1年8か月、病欠・休職したことは上記2でもご説明したところですが、特筆すべきことに、リワークデイケアを利用していたことが挙げられます。

リワークデイケアとは、休職者等が復職(職場復帰)に関する社会生活機能の回復を目的として、生活リズムの再獲得、体力の回復、対人関係の改善および仕事へのストレス耐性を高めること、自分の病状をコントロールすること、心理学的な手法を用いて自らをケアする方法などについて職場復帰プログラムとして学習する機関です。

(お役立ち情報)SBMTCOニュース「復職リワークって、どんなところ?

この時3年近くまで長期にわたって勤務期間を維持できたこと及び2015年度1月に病欠するもその後復活できたことは、リワークデイケアで心理学的な手法を用いて自らをケアする方法を学んだことが上記2で申し上げた「心の整理」と同様の効果があったためと推測されます。

ただ惜しむらくは、ある会社員が復職後にメンタルトレーナや心理カウンセラーのメンタルサポートを受けていなかったことです。

ある会社員は恒常的に精神科に通院していましたが、精神科では薬物治療が中心で主治医との面談も通常5~10分程であり、心理カウンセリングの要素は少なかったとのお話でした(医療機関における薬物治療や診療時間等を否定する意図はありません。医療機関の役割はとても重要なものであるとSBMTCOは考えています。SBMTCOでは必要に応じて医療機関の受診をおすすめしています)。

メンタルトレーナー・心理カウンセラーとして思うところは、月に1回程度で十分ですので心理カウンセラー等のメンタルサポートを受けていれば、早めのストレスの解消や課題の解決等への対応も可能となり、状況も好転し結果も違ったものになったのではないかということです。

4.2016年度5月~2018年度2月

三回目の病欠・休職期間は2016年度5月から2018年度2月の2年10か月(34か月)となりました。

ある会社員は2018年度2月末にⒷ社を休職期間満了まで8か月を残し退職しました。当時の考え方等をお聴きしたところ、「この頃、あと数か月で現状や自分のⒷ社に対する思いが変わるとは思えず、Ⓑ社で仕事を続けるのは無理だろうと感じていた。こう感じるようになった時点で休職期間満了までⒷ社の世話になるのはちょっと違うと思い、退職を決めた。」とのお話でした。なお、このお話には後日談があって、ある会社員はⒷ社を退職すると決めてから抑うつ状態が解消され健康を取り戻し、主治医からももう受診の必要はないとの診断を受けたそうです。また、ある会社員はその後新しい仕事に就き、元気に暮らしているとのことです。

ある会社員はこの病欠・休職期間にもリワークデイケアに通っていましたが、2017年度10月に通うのをやめました。その理由をお聴きしたところ、「前回もリワークデイケアに通って、万全の態勢で、十分に準備して復職をしたつもりだったが、結局のところ、うつ病を再発し、再休職してしまった。今回は前回以上の準備が必要で、さらにプラスαの対処法というか、解決策を見つけなければ復職できないと思い込んでいた。リワークデイケアは同じところに通っていたので、これ以上の対処法や解決策は見つからないと思って通うのをやめた。」とのお話しでした。

2017年度10月にリワークデイケアをやめたことの是非については個人の判断なので何とも言えないところですが、確かにリワークデイケアはグループ活動を通して復職準備を行うことが中心的な目的、役割であり、個人特有の課題やメンタル的な側面の復職準備は個々人が行うということに正当性はあると思います。

そこで、上記の個人特有の課題やメンタル的な側面の復職準備に活用できるのが、メンタルトレーナー・心理カウンセラーのメンタルサポートということです。メンタルトレーナー・心理カウンセラーと一対一で話し合うことによって、焦り、不安、心配等のマイナスの感情を吐き出し、メンタルや課題の整理を行い、気持ちや感情の改善や課題の解決策等を発見する作業を一緒に行うというイメージです。

本稿において、冒頭で申し上げた三つの意図、①メンタル不調の始まりから復職や寛解までの道すじをモデル化して視覚的にわかりやすい形でお示しすること、②数年にわたりうつ病等と付き合わなくてはならない場合や再発や再休職する場合もあるという事例をお知らせすること、③心理カウンセリングやメンタルトレーニングといったメンタルサポートを活用すれば、メンタル不調に陥ることや再休職となることを予防できる可能性があることについてありがたくも皆さまに広くご高覧頂き、また、本稿の情報が何かしら皆さまのお役に立つことがありますれば幸甚です。

最後までお読み頂き、ありがとうございます。

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